この人に聞く

クリック1つで必要な情報を取れるサービス

リスク情報をウェブ地図で一元管理

さまざまなリスク情報をウェブの地図上で一元管理し、災害発生時には被災リスクが高い拠点をメールで知らせてくれる。こんなサービスを開発したのが国際航業株式会社。きっかけは不動産会社からの問い合わせだった。サービスの立ち上げ時から企画・マーケティング・営業を一手に担う中川氏に聞いた。

不動産からの問い合わせがヒント

Boisの検討を始めたのが2016、7年ぐらいです。それまで公共事業での防災関連の情報提供のノウハウはたくさん蓄積していましたが、民間向けにはあまりサービスを提供していませんでした。不動産会社から、取引の際に物件等のリスクがどの程度あるのかハザードマップ等の情報を集めてレポートとしてまとめてほしいとの要望があり、試験的にサービス提供してみたところ、非常に受けたんです。BCPへの関心も高まり始めていましたので、災害時に活用できる情報を集めて提供していけばビジネスとしても成り立つのではないかと考えました。

不動産取引の場合、その建物自体にリスクがどのぐらいあるのかという情報が求められます。行政からはハザードマップが出されていますが、インターネットで開示されているものもPDFが主流なんですね。そうすると、例えば、ある物件があったとして、住所で検索して、PDFをダウンロードして拡大して、「多分この辺り」といったことをやるわけですよ。それも地震だったり浸水だったりハザードマップは色んな種類があったりします。ものすごい数の不動産取引が全国日々行われている中で、不動産会社がその物件のハザードマップなどの情報整理をやることは大変な作業です。それを我々の方で情報を集めて、クリック一つで簡単に情報を取れるような事をやれば、不動産に限らず、お客様である企業も非常に楽になるし、その先の一般のエンドユーザーの役にも立てるなと思ったんです。

災害時の情報収集にもニーズ

また、我々が顧客企業に対して色々ヒアリングをお願いしたところ、「いろんな情報がばらばらにあるものをリアルタイムで見られるとありがたい」という声がありました。それに、災害時の情報収集も、みなさん結構手作業でやられていることも多かったので、その辺が自動化されると助かるという話を聞きました。地震が発生した時に、各地にある建物や拠点、あるいはサプライヤー等がどの程度被害を受けたか、なかなか把握できない。その点、我々は1㎞メッシュ単位で地震のシミュレーションが細かく評価できたので、事前に拠点を登録しておけば、地震発生時にある程度ピンポイントで被害の可能性がある拠点等を自動抽出できるのです。

トリガーを知らせる

さらに、企業が災害本部を立ち上げるトリガーとしては、「特別警報」にも着目しました。特別警報が発令された自治体をすべてピックアップするのです。そうすると、今度は「警戒レベル」の話が出てきて、特別警報の手前の避難指示とか、警戒レベル4くらいが「災害本部立ち上げのトリガーだ」といった声もあり、こうしたお客様のニーズを聴きながら、機能を拡大していきました。最近では、台風対策などとして、自動的に準備を開始するトリガーとして、タイミングを知らせる機能がほしいという要望もあり、対応していく予定です。

そのほか、停電情報だとか、交通機関の情報が欲しいというニーズも出てきています。我々では対応できないものについて、ほかのサービスと提携したりということも模索して、企業の災害対応を情報面でサポートしていきたいと考えています。

プロフィール

1993年4月入社。法人営業部門や公共営業部門にて営業・企画を担当。防災マニュアルから立地診断、防災システム開発まで防災系の案件にも数多く従事。2018年4月よりBois/防災情報提供サービスの立ち上げから従事。現在は、Boisの販売担当部長として企画・マーケティング・営業を担当。