危機管理メディアが創造する社会課題解決コミュニティ

(写真左上:木村玲欧氏、右下:中澤幸介)

危機管理に役立つ製品やサービス、技術、人、本などあらゆるコンテンツを集めた「危機管理ビジネスEXPO」。誕生の経緯やビジョン、今後の展開について、兵庫県立大学教授の木村玲欧氏と弊社リスク対策.com編集長の中澤幸介が対談しました。

木村 :SDGsなど社会の持続的な発展のために、自然災害、大規模事故、テロ、感染症、セキュリティなど危機管理はますます重要さを増しています。

この「危機管理ビジネスEXPO」はどのような社会課題の解決を目指しているのですか?

中澤 :災害や事件・事故など、私たちの生活は常に危機と隣り合わせと言っても過言ではありません。ところが、ほとんどの人がこうした危機に無防備です。それどころか、関心すら持とうとしません。そこで、危機管理の専門メディアであるリスク対策.comが、さまざまな製品やサービスを紹介するとともに、なぜ、そうした製品やサービスが開発されたのか、開発のストーリーまでを取材することで、危機がもたらす現実やさまざまな課題に気づき、自分たちでこうした課題を解決していかなくてはいけないと自覚する社会の仕組みを作っていきたいと考えています。

危機管理ビジネスEXPOは、危機管理に役立つ製品やサービス、技術、人、本などあらゆるコンテンツを掲載するだけでなく、社会をより善くしていこうとする価値の展示会を目指しています。

木村 :21世紀は、「大災害時代」になるといわれています。地震や火山噴火、風水害が多発する中で、災害に立ち向かい、乗り越えていくために必要な能力、つまり「危機管理リテラシー」「防災リテラシー」を上げる必要があります。教育・研究機関でも特に阪神・淡路大震災以降、こうしたリテラシーを高めるための教育・訓練に関する研究が行われており、私も公益財団法人セコム科学技術振興財団より研究費をいただき、さまざまな研究・実践を行っています(注1)。

このような研究で特に重要なのは、いかに多様なステークホルダーの取り組みを共有財産化して、大きな危機管理や防災の「知」にハブ化していくかです。この「危機管理ビジネスEXPO」は、災害についての知恵・技術を学び、みんなで共有することができるサイトとして、人々の命と暮らしを守る貴重なハブになると思います。

中澤さんは、そもそもなぜ、このようなサイトを作ったのですか?

中澤 :長年、危機管理の専門メディアを運営する中で、危機管理の取り組みにはずいぶん格差があることが分かってきました。大企業ではリスクマネジメントやBCP(事業継続計画)などへの取り組みが進む一方で、中小零細企業は取り組みが一向に進んでいません。本業ですら厳しいのに、危機管理やリスクマネジメントに投じるお金や人、時間的な余裕がないわけです。

ならば、こうした中小零細企業には、まずはビジネスとして危機管理に貢献してもらってはどうかと考えたわけです。

自分たちの持っている技術や知見を活かして、危機管理に役立つ製品やサービスを作ったり、現在作っている製品やサービスを災害時などでも使えるように改良する。必要性に迫られて、形式だけの危機管理に取り組むよりは、収益につながるビジネスとして危機管理に関心をもってもらうことが先ずは重要だと思うのです。そのことで、災害に無防備だった多くの人の命が救われるかもしれないし、中小企業にとっては、自社の製品やサービスの新たな用途が考えられる力が身につく。

それは、言わば企業にとっての競争力であり、結果としてBCP(事業継続計画)の重要性についても理解が進むはずです。社会課題をビジネスによって解決しようとする企業の挑戦は、CSV(Creating Shared Value「共通価値の創造」と呼ばれ、新たな社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値をも創造すると言われています。

木村 :危機管理に熱い想いを持った人が集まり、価値観を共有しながら、さらに新しい知恵や技術を生み出していく。そうした危機管理業界がこのサイトを通して生み出されれば日本の危機管理・防災は大きく持続的に発展していくと思います。

中澤さんが、このサイトを実際に開発・試行する中でお気づきになったことがありますか?

中澤 :実際には、危機管理製品を開発している企業の多くが、私がいうような収益を高めるビジネスモデルを模索していないことが分かってきました。お金儲けが目的ではなく、純粋に社会課題を解決しようと防災・危機管理ビジネスに取り組んでいるわけです。こうした経営者の崇高な姿勢には正直、敬服しております。しかし一方で、どんなに高い理念でも、やはり売れて、社会に広まらなければ、社会的課題が解決できないのも事実です。企業の規模が小さかったり、マーケティング力が弱かったり、十分にその良さがPRできていないのであれば、メディアとしてそこを支援していく必要があると思いました。一方で、こうした製品やサービスを開発している企業が持っている知見は想像を絶するほど大きい。彼らは製品・サービスを開発するだけでなく、さまざまな社会課題を解決する力をもっています。今後、出展数が増えて価値の共有が進めば、本当に多くの社会的な課題が解決できるようになると思います。

皆さんもこのサイトを御覧になりながら、こんな製品がある、こんなサービスがある、あるいは自分がこんな貢献ができるというものがございましたら是非このサイトを通して、発信し他の皆さんと交流を深めていただきたいと思っております。

コミュニティへの参加方法

会員登録いただくことで各コンテンツの資料をダウンロードしたり、出展者に問い合わせたりすることができます。費用は一切かかりません。 さらに、出展者登録していただくことで、自由に自社の製品やサービス、あるいは人、本などをPRすることができます。

多くの出展を希望する方、危機管理について学びや理解を深めたい方には
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